アートの価値について想うこと

アートの価値について想うこと

アートに触れるとき、多くの人が「これって一体何がいいんだろう?」と感じることがあるかもしれません。何億円もの価格がつけられた作品を目にして、「どうしてこんなに高いの?」と首をかしげることもあるでしょう。そこで、今回は現代アートの価値について、価格と購入者の価値基準という観点から一緒に考えてみましょう。

画像は島上直子さんの作品「Because」。 a good view で2024年発売予定

 

価格はどのようにして決められる?

まず、現代アートの価値は大きく分けてプライマリー市場(新品市場)とセカンダリー市場(中古市場)で異なります。プライマリー市場では、制作者とギャラリーが協力して価格を決めることが一般的です。ここでは、作家の過去の実績や販売者との信頼関係などが考慮されます。一方、セカンダリー市場、特にオークションでは、価格は市場の需要と供給によって大きく変動します。現代アートの価格が上昇する背景には、制作者が有名になったり、作品の希少価値が高まったりすることが影響しています。反対に、時代の流行が変わったり、作家の人気が低下したりすると、価格が下がることもあります。結構わかりやすいですね(笑)。

 

価格が高い方が価値がある?

現代アートの世界では、価格が作品の価値を示す重要な指標となることが多いです。オークションで高値をつける作品は、上述の通り、その作家の知名度や市場での需要、作品の希少性などにより評価されますが、価格が高い作品は、それだけ多くの人が「価値がある」と認めた結果と言えるでしょう。

例えば、世界的に有名な現代アーティストであるバスキアダミアン・ハース村上隆らの作品は、オークションでとんでもない高額で取引されることが多いですね。彼らの作品は、視覚的にインパクトがあり、またコンセプトも強烈であるため、多くのコレクター(投資目的を含む)や美術館が欲しがります。結果として、価格が高騰し、その高騰した価格がさらに「価値がある」という認識を高め広めるのです。  

一方で、価格が高いからといって必ずしもその作品が「全ての人に価値がある」わけではありません。基本的にはアートの価値は主観的なものであり、個々の感性や経験、文化的背景によって異なるからです。ある作品が市場で話題になり、急激に価格が上昇することがありますが、その作品の本質的な価値が急に変わるわけでもありません。また、一時的な流行やメディアの注目によって価格が跳ね上がることもありますが、長期的に見てその価値が保たれるかどうかは別の問題です。

 

本当の価値とは何か?

アートの本当の価値とは、価格だけでなく、作品が持つメッセージや感動を与える力、文化的な影響力にあると言われています。また、アートは人々の心を動かし、考えさせ、時には社会を変える力を持っているとも言われます。

例えば、あなたが小さなギャラリーで見つけた作者不明の作品が、心に深く響いたとします。その作品に触れることによって元気が出たり、心が癒されたりするかもしれません。この場合、作品が高価でなくとも、あなたにとっての価値はとんでもなく高いはずです。

アートの価値は多面的であり、一概に価格だけで測ることはできません。価格が高いことがその作品の価値を示す一つの指標となることは否定しませんが、それが全てとは到底思えません。個人的には、原画ではなくても、限定品でなくとも、自分自身の感性を大切にし、心から感じる価値を見つけることが、アートを楽しむ上で最も重要なことだと考えています。

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