壁にアートを飾ると、空間の雰囲気が変わります。
でもその印象は、絵そのものの力だけによるものではありません。
絵のまわりにある“余白”が、作品の存在感をそっと引き立てているのかもしれません。
余白とは、絵の周囲にある「なにもない空間」のこと。
何もないように見えて、実はとても大切な要素です。
このスペースがあることで、絵がより印象的に映り、空間全体にも静けさや呼吸のようなリズムが生まれてきます。
では、余白を生かしてアートを飾るには、どんな点に気をつけるといいのでしょうか。
いくつかのシンプルなコツをご紹介します。
額と額のあいだの距離感を整える
近すぎると窮屈に、遠すぎると散らばった印象に。目安としては5〜15cmほどがバランスよく見えることが多いようです。

飾る高さは“目線”を意識して
壁にアートを飾るときは、人の視線が自然に向かう高さに合わせると、空間が落ち着いた印象になります。特に単独で飾る場合は「目線=立ったときや座ったときの視線の高さ」が目安になります。

家具の上に飾るときは“余白のバランス”もポイント
ソファやチェストの上など、家具との組み合わせで飾る場合には、目線に加えて上下の余白にも注目を。家具とアートの距離が近すぎると窮屈に見えてしまいますし、離れすぎてもちぐはぐに。家具と額の下辺の間に適度な余白を持たせ、額の上部と天井との距離とのバランスも整えると、空間に統一感が生まれます。

マットを使ってアートそのものに余白をつくる
作品より一回り大きな額縁にマットを合わせて額装することで、絵のまわりにやわらかな余白が生まれ、作品が引き立ち、飾る場所の印象まで変わってきます。

小さなアートを複数飾るという選択
大きなアートを一枚飾るのも素敵ですが、小さな作品をいくつか組み合わせて飾ることで、空間に軽やかなリズムが生まれます。
複数の作品を並べると、それぞれのあいだに自然な余白ができ、壁全体がひとつのまとまりとして整って見えるようになります。
視線がその「間」を通って流れていくような感覚も、小さなアートならではの心地よさかもしれません。

こうした“余白”が与える効果は、見た目の印象にとどまりません。空間に余白があることで、どこか心が安らぐような雰囲気が漂います。
アートを飾るということは、ただ絵を並べることではなく、そのまわりにどんな空間をつくるかを楽しむことでもあります。
小さな作品を、少しずつ、ゆったりとした気持ちで飾っていく。絵と絵のあいだの余白にも目を向けながら、自分なりのリズムで空間を整えていく。
そんな過ごし方も、アートとの心地よい付き合い方のひとつかもしれません。
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