会議室にこそ、アートを飾ろう

会議室にこそ、アートを飾ろう

会議室(ミーティングルーム)は、どうしても少し緊張感の漂う空間です。
重要なプレゼンテーション、取引先との打ち合わせ、時には社内の意見がぶつかる議論の場にもなります。空間としては機能的で整っていても、気持ちが“構える”場になりがちです。

そんな会議室に、思わず口元がゆるむようなアートがあったらどうでしょう。
視線が自然とそちらに向かい、ふっと緊張がほどける。そんな「気を抜ける」瞬間があることで、空気がやわらぎ、会話のテンポが軽やかになるのではないでしょうか。

 

スタイリッシュな空間にも、ちょっとした“遊び心”を

近年のオフィスは洗練されたインテリアが多く、会議室もシンプルでモダンな印象に仕上げられていることが少なくありません。そういった空間こそ、アートがよく映えます。

たとえば、無機質になりがちな会議室に、にやっと笑みがこぼれるようなユーモラスな動物のアートをひとつ。あるいは、静かな風景ややわらかい抽象画で、視覚的な“抜け”をつくってみる。そうした仕掛けが、思考を切り替えたり、和やかなコミュニケーションを促したりするのです。

 

目的に合わせてアートの役割を選ぶ

動物をモチーフにしたアートといっても、その印象はさまざまです。
ユーモアのある表情やポーズの作品は、会議の緊張をやわらげ、空気を和ませる効果があります。


また、部署や会議の目的によって、飾るアートのテイストを変えることで、より効果的な空間演出が可能になります。

・営業部門には、動きや開放感のある動物や風景のアート。活発な議論や前向きな提案が生まれやすくなります。

・クリエイティブ部門では、色彩豊かな抽象画や幻想的な構図など、自由な発想を刺激するものがおすすめ。

・経理・管理部門には、緑豊かな自然風景や静かな静物画など、落ち着きと集中を促すアートが適しています。

このように、アートは単なる装飾ではなく、空間と人の関係性に作用する“道具”としても機能します。

 

生産性と快適性に影響する“美的環境”

アートを含む「美的な空間」が仕事にポジティブな影響を与えることは、いくつかの研究でも明らかになっています。

たとえば、英国エクセター大学のCraig Knight博士らの研究(2010)では、従業員がアートや植物の配置に関与したオフィス空間で働く場合、何も装飾のない“殺風景な空間”と比べて生産性が最大32%高くなったという結果が示されています。※1

また、2014年カーディフ大学を含む国際チームによる実際のオフィスを使った研究では、実際のオフィスに「生きた観葉植物」を導入するだけで生産性が15%向上し、集中や満足度、知覚される空気質も改善したと報告されています。※2

さらに、BCA(Business Committee for the Arts)× APAAが全米32社・800人超を対象とした調査では、オフィスにアートがあることで「ストレスが軽減された」と答えた人が78%、「創造性が高まった」と答えた人が64%にものぼりました。※3


“余白のある空間”が人を動かす

無機質で緊張感のある会議室(ミーティングルーム)に、ちょっとしたやわらかさやユーモアのあるアートを。
それだけで、空間の温度は変わります。会話に笑顔が生まれたり、沈黙が和らいだり。ときには、新しいアイデアのきっかけになるかもしれません。

空間にアートを飾ることは、単なる装飾ではなく、心のリズムを整える“しくみ”をつくることでもあります。部署や目的に応じたアート選びを取り入れて、会議という場を、もっと自由でポジティブな空間にできるはずです。

まずは小さな一枚から試してみませんか。


 

出典:

※1(2010年研究・一次情報)

※2(2014年研究・一次情報)

※3(BCA×APAA:組織情報/調査は二次要約で広く再掲)

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