今回の新作は、富士山や並木道、田園風景など、誰もが一度は心に思い浮かべたことのある風景を題材にしています。実際に訪れた記憶がある方には、そのときの空気や時間がそっと重なり、初めての場所であってもどこか懐かしさを感じさせてくれるはずです。
大川菜々子さんは、風景をそのまま描くのではなく、色と形を通して「印象」や「余韻」をすくい取るように表現しています。日常の空間に静かに寄り添い、見るたびに異なる感情を呼び起こすシリーズです。


画像は「富士山」。雄大な富士山と紅葉のコントラストが美しい一枚です。


画像は「銀杏並木」。ベンチに座って景色を眺めているような、静かで豊かな時間が流れるアートワークです。


画像は「田園」。大川さんならではの素朴で優しい色使いが、どこか懐かしい日本の原風景を思い出させてくれます。

大川菜々子 / Nanako Okawa
香川県小豆島出身。武蔵野美術大学大学院版画コースを修了。伝統的な技法を現代的な感性で表現する木版画作家。日常の何気ない物事や風景を、柔らかく曖昧な色使いで温かみのある作品として描き出す。主に都内のギャラリーを拠点に個展やグループ展を開催し、定期的に作品を発表している。