犬の絵と猫の絵は、一見すると同じ「ペットアート」に分類されますが、購入者の傾向を詳しく見ると意外な違いがあることがわかります。なぜ犬の絵を選ぶ人と猫の絵を選ぶ人には違いがあるのでしょうか? ここでは、それぞれのアートの魅力とペットアートマーケットにおける購入者の傾向を比較してみます。
1. 犬の絵の購入者は犬種にこだわる?
犬の絵を選ぶ人の多くは、自分が飼っている犬と同じ犬種を求める傾向があります。例えば、ゴールデン・レトリバーを飼っている人はゴールデン・レトリバーの絵を、柴犬を飼っている人は柴犬の絵を選ぶことが多いようです。犬は品種ごとに姿や特徴が大きく異なるため、「自分の愛犬を思い出せる」作品が求められるのかもしれません。
また、犬の飼い主はペットへの愛着が非常に強く、リアルな肖像画のようなスタイルの作品を好む傾向があります。特に、愛犬を亡くした人が思い出のためにオーダーメイドの肖像画を依頼するケースもあります。
2. 猫の絵の購入者は猫種にこだわらない?
一方で、猫の絵を購入する人は、犬ほど猫種にこだわらない傾向があります。もちろんペルシャ猫やアメリカンショートヘアなど特定の品種の人気はありますが、多くの人は猫の「シルエット」や「雰囲気」を楽しむことを重視しています。黒猫のミステリアスな姿、眠る猫の丸いフォルム、飛び跳ねる猫のしなやかな動き——こうした「猫らしさ」が魅力とされています。
また、猫は自由気ままな性格を持つため、リアルな肖像画よりも抽象的な表現やシンプルなデザインのアートが好まれることが多いのも特徴です。
3. 実際に犬や猫を飼っている人が買うのか?
犬の絵を購入する人の中には、実際に犬を飼っている、または過去に飼っていた人が多いと考えられます。愛犬の姿を思い出し、インテリアの一部として飾ることで家族のような存在を感じたいのかもしれません。
一方、猫の絵は猫を飼っていない人にも人気があります。猫の絵には「気まま」「自由」「神秘的」といったイメージがあり、猫好きでなくとも魅力を感じる人が少なくありません。特に、モダンでスタイリッシュなインテリアに馴染みやすいことから、デザイン性を重視して選ぶ人も多いようです。
4. 猫の飼育頭数が増え、犬の飼育頭数が減っている理由
近年、日本では猫の飼育頭数が増え、犬の飼育頭数が減少する傾向が続いています。その背景には、ライフスタイルの変化や社会的な要因が関係しています。
猫の飼育頭数が増えている理由
・室内飼育の普及 → 都市部の集合住宅でも飼いやすい環境になっている
・単身・共働き世帯の増加 → 散歩不要で留守番ができ、ライフスタイルに合いやすい
・高齢者世帯での需要 → 散歩の必要がなく、癒しの存在として求められている
犬の飼育頭数が減っている理由
・散歩などの世話の負担 → 共働き世帯・単身世帯が増え、犬の世話が難しくなっている
・入手経路の限定 →猫と違って「もらった」「拾った」が少なく、ペットショップやブリーダーからの購入が主な入手経路となっている
・ブリーダーの減少と子犬の価格高騰 →法改正などにより、犬の繁殖を担うブリーダーが減少し、子犬の供給が減り価格が高騰している
過去数年間のデータを見ると、犬の飼育頭数は減少傾向にあり、2013年の871.4万頭から2023年には684.4万頭まで減少しています。一方、猫の飼育頭数は増加傾向にあり、2013年の840.9万頭から2023年には906.9万頭となっています。この変化からも、猫の人気が高まっていることがわかります。ちなみにアメリカ、ドイツ、イギリスなどの先進国でも猫の飼育数が増加し、犬の飼育数が減少する傾向がみられるようです。
5. 犬の絵 vs 猫の絵 〜インテリアとしての役割〜
犬の絵は感情を強く表現したものが多く、温かみのある雰囲気を作り出します。一方、猫の絵はミニマルで洗練されたデザインが多く、クールな空間づくりに適しています。そのため、温かみのあるナチュラルな部屋には犬の絵が、モダンで都会的な空間には猫の絵が似合う傾向があります。
今回のコラムはいかがでしたか?
動物のポスターを飾る方の中には、住環境やお世話の事情でペットを飼いたくても飼えない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方々にとって、われわれのポスターが少しでも癒しや楽しみになれば、作家さんも私たちも嬉しいなあ などど考えています。

以下余談。
有名な話ですが、米津さんと北村さんは大学時代からのご友人。お二人とも絵本作家として国内外で大活躍されているなんて、先生もきっと鼻が高いことでしょう。
参照元
一般社団法人ペットフード協会
https://petfood.or.jp/data-chart/
経済産業省
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20230804hitokoto.html
環境省
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/tekisei/h29_03/mat02.pdf