adoさんの描く生き物は、愛らしさを前面に出しすぎません。目が合うのに、言い切らない。表情があるのに、説明しない。
その距離感があるから、眺めているうちに「かわいいね」で終わらず、ふと“生き物としての存在”に引き戻されます。目線の置き方、輪郭のゆるみ、体の重みの残し方。その全部が、こちらの感情を急かさないまま、静かに近づいてくる感じです。

描き始めたのは、ケニヤから帰った春
adoさんが創作を始めたのは、大学の畜産学部2年の春。2ヶ月のケニヤ滞在を終えて帰国した直後でした。
野生動物保全に関わりたい気持ちは強かった一方で「獣医でもない」「屈強な身体があるわけでもない」「語学力も十分ではない」。現地で自分の“甘さ”に気づいたといいます。
それでも「自分なりに出来ることはないだろうか」と考え続けた滞在中、ケニヤの人たちに似顔絵を描いたところ、とても喜んでもらえた。そこで、絵には人の心を動かし、届く力があると体感します。
帰国後は、描きながら伝えながら、自分にできることを少しずつ増やしていく道を選びました。
作品に流れる軸「“生き物だな”と感じられること」
adoさんが絵を通して大切にしているのは、まず「自由に感じるままに見てもらえる」こと。
そのうえで、ときには「その生き物がどこかで生きていること」や「多種多様な生き物がそれぞれの場所で暮らしていること」に、じんわり思いを馳せてもらえたらうれしい。
一貫して流れるテーマは、言葉にすると少し不思議で、けれど芯のある一文です。
「“生き物だな”と感じられるものになっていること」
説明や正解に寄りかからず、見る人の感覚にそっと火を灯す。その静かな狙いが、adoさんの絵の立ち上がり方を決めているように思えます。
和紙とオイルパステル、手から紙へ「直接つながる感じ」
近年よく使う素材は、和紙とオイルパステル。
和紙の「モケモケ感」が、生き物を描くことと相性がいい。オイルパステルは、筆などの道具を介さず、手から直接紙へつなげられる感覚、発色、質感が好き。
技法の説明は多くを語らなくても、素材選びの理由だけで伝わるものがあります。
“触るように描く”。その距離感が、adoさんの生き物を「概念」ではなく「存在」に近づけていきます。
目の表情で、印象が変わる
色や構図、線について「特にないかも」とさらりと言うadoさん。
ただし生き物においては、目で印象がだいぶ変わる。だから、しっくりくるまでいろいろ試すことが多いそうです。
この「しっくり」の中には、観察と直感、知識と手の記憶が混ざっているはずで、そこを急がないのがadoさんらしさなのだと思います。
モットーはシンプルに「やりたいことをやる。やれることをやる」
創作に向き合うときは「作ってみたいと思ったら作ってみる。手を動かしてみる」。
続けていく上でのモットーは、「やりたいことをやる やれることをやる」。
大きな転機が一度あったというより、ご縁やきっかけが連なって、できることと活動の範囲が少しずつ増えていった。そんな歩み方をしています。
原体験としてのケニヤ、そして「具体的な動き」へ
adoさんにとっての原体験は、ケニヤで滞在を受け入れてくれた獣医の神戸俊平さんの存在。
その後も多くの人や経験に支えられて今があると、しみじみ語ります。
今後やってみたいのは、描くことだけに留まらず、実際に生き物の状況がよくなる具体的な動きも少しずつ増やしていくこと。
「生き物は知識としても経験としても、どれだけでも学ぶことがある」。この言葉は、創作の背骨であり、暮らし方の宣言にも聞こえます。
飾る人へ「好きだなー!と思ったら、その気持ちを大切に」
作品を手に取る方へのメッセージは、とても率直です。
「私のものに限らず、自分が好きだなー!と思ったらその気持ちを大切にすると楽しいと思う」
飾ってもらえるのは「めちゃ嬉しい」。それぞれの家で自分の絵が暮らしていると思うと、しみじみうれしい。
絵が暮らしの中で担ってほしい役割も大げさではなく、「じんわり何らか少しでもプラスになっていたら」。この“じんわり”が、adoさんの絵の温度です。
adoさんのnoteでは「ネコが外で暮らさずに済むようにする」を目標に、外のネコが直面する危険や、私たちにできる選択をやさしく整理しています。外のネコは事故だけでも全国推定22万3366匹が亡くなるというデータに触れつつ、寒さ暑さや病気、虐待などの現実を挙げたうえで「安易に餌をあげない」「完全室内飼い」「避妊去勢」「TNR+Manage+Adopt」など、具体的な行動に落とし込んでいます。さらにご自身の18年の経験と反省も率直に綴られているので、詳しくはアドさんのnoteの投稿をご覧ください。
https://note.com/ado_jogoo/n/nbb102db00b5c

のーちゃんとサビ