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当店に作品をご提供くださっている作家の皆さまをご紹介するページです。画家、イラストレーター、テキスタイルデザイナーなど、従来のカテゴリーにとらわれることなく、アートとデザインの境界を自由に行き来する、国内外の多彩な作家陣が参加しています。

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わたしたちの生活に彩りや癒しを与えてくれるアートポスターを、美しく印象的に飾るアイデアをご紹介します。ぜひご活用ください。

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  • ムーミンキャラクターズ社を訪ねて|鈴木マサルがたどるムーミンの歴史と世界

    ムーミンキャラクターズ社を訪ねて|鈴木マサルがたどるムーミンの歴史と世界

    テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんが、フィンランド・ヘルシンキにあるムーミンキャラクターズ社を訪ねました。 オフィスやショールームを案内してくださったのは、ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンさんのご親族であるジェームズさん。 貴重な資料や作品を見ながら、ムーミンの歴史やトーベ・ヤンソンさんの創作について、鈴木マサルさんならではの視点でたどります。 ムーミンの物語が生まれ、長く受け継がれてきた背景に触れられる約35分の映像です。ぜひゆっくりとご覧ください。     © Moomin Characters™  

    ムーミンキャラクターズ社を訪ねて|鈴木マサルがたどるムーミンの歴史と世界

    テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんが、フィンランド・ヘルシンキにあるムーミンキャラクターズ社を訪ねました。 オフィスやショールームを案内してくださったのは、ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンさんのご親族であるジェームズさん。 貴重な資料や作品を見ながら、ムーミンの歴史やトーベ・ヤンソンさんの創作について、鈴木マサルさんならではの視点でたどります。 ムーミンの物語が生まれ、長く受け継がれてきた背景に触れられる約35分の映像です。ぜひゆっくりとご覧ください。     © Moomin Characters™  

  • 壁に穴をあけずに、アートを飾る|賃貸でも楽しめる飾り方

    壁に穴をあけずに、アートを飾る|賃貸でも楽しめる飾り方

    アートポスターを手に入れたのに、しばらくそのまま置いてある。あるいは、気に入った作品を見つけても「どうせ賃貸だから」と購入をためらう。そういう経験は、思いのほか多くの人に共通しているようです。 壁に穴をあけることへの抵抗は、単なる契約上の問題ではありません。「失敗したくない」「一度決めたら動かせない」という感覚が、飾るという行為そのものを重たくしています。 とはいえ実際には、壁を傷つけずにアートを飾る方法はいくつかあります。道具も、それほど特別なものではありません。 知っておきたい道具と、その使いどころ ① 粘着フック・粘着タブ 最も広く使われているのが、剥がせる粘着タブやフックです。3M コマンド™ フックシリーズは、タブをゆっくり引き伸ばすことで、跡を残しにくく取り外せる設計になっており、壁紙専用タイプも展開しています。製品によって耐荷重は異なるため、額装したポスターを飾る場合は、作品とフレームを合わせた重さを確認して選ぶのがおすすめです。ただし、壁紙の素材や経年劣化によっては、剥がす際に表面が傷むケースもあるため、目立たない箇所で事前に試しておくと安心です。 ② 練り消しタイプの粘着剤 軽量のポスターや小さな作品には、コクヨ「ひっつき虫」が手軽です。合成ゴム製の粘着剤を指でこねて四隅に貼り付けるだけで固定でき、粘着力が落ちてきたら揉むことで復活します。重いものを支える用途には向かないため、額なしのポスターや小さなドローイングなど、ごく軽い紙ものに向いています。剥がすときはゆっくりと引き剥がすのがコツで、急ぐと作品が傷む場合があります。 ③ マグネットハンガー ポスターそのものを傷つけたくない場合は、無印良品「ポスターマグネットハンガー」も選択肢になります。上下の磁石バーで紙を挟んで吊るす仕組みで、作品の交換がしやすく、フレームなしで軽やかに見せたい場合にも重宝します。 穴をあけるなら、塞ぐ道具も一緒に どうしても画鋲やピンを使いたい場合、二つのアプローチがあります。 一つは、+d「ニンジャピン」のように、ピン跡が目立ちにくい設計の画鋲を選ぶことです。ピン先の断面がV字形状になっており、凹凸のある壁紙であれば抜き跡が比較的目立ちにくくなります。耐荷重は製品によって異なるため、飾るものの重さを確認して使うと安心です。 少し重さのある額装作品を掛けたい場合は、石こうボード用のフックを選ぶ方法もあります。東洋工芸「ハイパーフック かけまくり」は、2本の針が壁の中で交差して固定される仕組みで、取り外した跡が比較的小さく済むのが特徴です。ただし、壁の素材によって使える・使えないがあるため、必ず対応壁面と耐荷重を確認してから使用してください。 もう一つは、穴をあけた後に塞ぐことです。建築の友「クロスの穴うめ材スーパー」は、ノズルを穴にあてて押し出すだけで補修できる手軽な道具です。乾燥後はツヤ消しに仕上がり、白・アイボリー・ベージュなど複数の色が展開されているため、壁紙の色に合わせて選べます。引越し前の簡単な補修にも役立ちますが、賃貸の場合は契約内容や管理会社の判断によって扱いが異なるため、気になる場合は事前に確認しておくと安心です。 固定しない、という選択 壁に何も取り付けない飾り方も、十分に成立します。 大きめのサイズを選んだら、額装して床に立てかけてみてください。壁に固定しないぶん、模様替えのたびに自由に動かせます。少し大きめのサイズを選ぶと、床置きでも空間のなかで作品がきちんと佇みます。 画像はタンジサトミさんの PROLOGUE 小さめのサイズは、キャビネットや棚の上に置くのがよく似合います。本や植物、小物と並べることで、作品が暮らしの道具と同じ目線に降りてきます。壁に掛けるより距離が近く、日々の視野に自然と入ってくるのが、この飾り方の気持ちよさです。 画像は青山佳世さんのLEMON AND FIELD PEAS...

    壁に穴をあけずに、アートを飾る|賃貸でも楽しめる飾り方

    アートポスターを手に入れたのに、しばらくそのまま置いてある。あるいは、気に入った作品を見つけても「どうせ賃貸だから」と購入をためらう。そういう経験は、思いのほか多くの人に共通しているようです。 壁に穴をあけることへの抵抗は、単なる契約上の問題ではありません。「失敗したくない」「一度決めたら動かせない」という感覚が、飾るという行為そのものを重たくしています。 とはいえ実際には、壁を傷つけずにアートを飾る方法はいくつかあります。道具も、それほど特別なものではありません。 知っておきたい道具と、その使いどころ ① 粘着フック・粘着タブ 最も広く使われているのが、剥がせる粘着タブやフックです。3M コマンド™ フックシリーズは、タブをゆっくり引き伸ばすことで、跡を残しにくく取り外せる設計になっており、壁紙専用タイプも展開しています。製品によって耐荷重は異なるため、額装したポスターを飾る場合は、作品とフレームを合わせた重さを確認して選ぶのがおすすめです。ただし、壁紙の素材や経年劣化によっては、剥がす際に表面が傷むケースもあるため、目立たない箇所で事前に試しておくと安心です。 ② 練り消しタイプの粘着剤 軽量のポスターや小さな作品には、コクヨ「ひっつき虫」が手軽です。合成ゴム製の粘着剤を指でこねて四隅に貼り付けるだけで固定でき、粘着力が落ちてきたら揉むことで復活します。重いものを支える用途には向かないため、額なしのポスターや小さなドローイングなど、ごく軽い紙ものに向いています。剥がすときはゆっくりと引き剥がすのがコツで、急ぐと作品が傷む場合があります。 ③ マグネットハンガー ポスターそのものを傷つけたくない場合は、無印良品「ポスターマグネットハンガー」も選択肢になります。上下の磁石バーで紙を挟んで吊るす仕組みで、作品の交換がしやすく、フレームなしで軽やかに見せたい場合にも重宝します。 穴をあけるなら、塞ぐ道具も一緒に どうしても画鋲やピンを使いたい場合、二つのアプローチがあります。 一つは、+d「ニンジャピン」のように、ピン跡が目立ちにくい設計の画鋲を選ぶことです。ピン先の断面がV字形状になっており、凹凸のある壁紙であれば抜き跡が比較的目立ちにくくなります。耐荷重は製品によって異なるため、飾るものの重さを確認して使うと安心です。 少し重さのある額装作品を掛けたい場合は、石こうボード用のフックを選ぶ方法もあります。東洋工芸「ハイパーフック かけまくり」は、2本の針が壁の中で交差して固定される仕組みで、取り外した跡が比較的小さく済むのが特徴です。ただし、壁の素材によって使える・使えないがあるため、必ず対応壁面と耐荷重を確認してから使用してください。 もう一つは、穴をあけた後に塞ぐことです。建築の友「クロスの穴うめ材スーパー」は、ノズルを穴にあてて押し出すだけで補修できる手軽な道具です。乾燥後はツヤ消しに仕上がり、白・アイボリー・ベージュなど複数の色が展開されているため、壁紙の色に合わせて選べます。引越し前の簡単な補修にも役立ちますが、賃貸の場合は契約内容や管理会社の判断によって扱いが異なるため、気になる場合は事前に確認しておくと安心です。 固定しない、という選択 壁に何も取り付けない飾り方も、十分に成立します。 大きめのサイズを選んだら、額装して床に立てかけてみてください。壁に固定しないぶん、模様替えのたびに自由に動かせます。少し大きめのサイズを選ぶと、床置きでも空間のなかで作品がきちんと佇みます。 画像はタンジサトミさんの PROLOGUE 小さめのサイズは、キャビネットや棚の上に置くのがよく似合います。本や植物、小物と並べることで、作品が暮らしの道具と同じ目線に降りてきます。壁に掛けるより距離が近く、日々の視野に自然と入ってくるのが、この飾り方の気持ちよさです。 画像は青山佳世さんのLEMON AND FIELD PEAS...

  • ムーミンの新作ポスターが入荷しました

    ムーミンの新作ポスターが入荷しました

    洪水によってムーミン一家と離れ離れになってしまったリトルミイは、裁縫かごに乗って、ぷかぷかと流れていきます。そのかごを釣り針に引っかけ、たぐり寄せたのがスナフキンでした。『ムーミン谷の夏まつり』に描かれた、リトルミイとスナフキンの偶然の出会いをモチーフにした作品です。   原作者トーベ・ヤンソンさんの姪であるソフィア・ヤンソンさんから、「トーベ本人が描いたもの以外ではベストだ」と称賛された、鈴木マサルさんのアートシリーズ。 物語の一場面を思わせるユーモアと、軽やかな色彩が魅力の一枚です   MOOMIN TRIBUTE WORKS の作品はこちら    

    ムーミンの新作ポスターが入荷しました

    洪水によってムーミン一家と離れ離れになってしまったリトルミイは、裁縫かごに乗って、ぷかぷかと流れていきます。そのかごを釣り針に引っかけ、たぐり寄せたのがスナフキンでした。『ムーミン谷の夏まつり』に描かれた、リトルミイとスナフキンの偶然の出会いをモチーフにした作品です。   原作者トーベ・ヤンソンさんの姪であるソフィア・ヤンソンさんから、「トーベ本人が描いたもの以外ではベストだ」と称賛された、鈴木マサルさんのアートシリーズ。 物語の一場面を思わせるユーモアと、軽やかな色彩が魅力の一枚です   MOOMIN TRIBUTE WORKS の作品はこちら    

  • 広島アンデルセンさまの「北欧ライフスタイルマーケット」に出品中です

    広島アンデルセンさまの「北欧ライフスタイルマーケット」に出品中です

    広島市のアンデルセンさまで開催中の「北欧ライフスタイルマーケット 2026」にて、ユリアン・マターさんとムーミンのアートポスターを販売しています。   画像手前:ユリアンさんのペーパークラフトも多数ご覧いただけます   「ここちよい夏のおうち時間を楽しむ」をテーマに、毎年開催されているこのイベント。「よいものを長く使う」という北欧の考え方をお手本に、毎日の暮らしに心地よく寄り添うアイテムがセレクトされています。暮らしを少し楽しくするアイデアも紹介していますので、ぜひお立ち寄りください。   広島アンデルセン 5階 スカンジナビアホール店舗住所: 広島市中区本通7-1開催期間: 6/23(火)~  28(日)https://www.andersen.co.jp/hiroshima/news/004883.html  

    広島アンデルセンさまの「北欧ライフスタイルマーケット」に出品中です

    広島市のアンデルセンさまで開催中の「北欧ライフスタイルマーケット 2026」にて、ユリアン・マターさんとムーミンのアートポスターを販売しています。   画像手前:ユリアンさんのペーパークラフトも多数ご覧いただけます   「ここちよい夏のおうち時間を楽しむ」をテーマに、毎年開催されているこのイベント。「よいものを長く使う」という北欧の考え方をお手本に、毎日の暮らしに心地よく寄り添うアイテムがセレクトされています。暮らしを少し楽しくするアイデアも紹介していますので、ぜひお立ち寄りください。   広島アンデルセン 5階 スカンジナビアホール店舗住所: 広島市中区本通7-1開催期間: 6/23(火)~  28(日)https://www.andersen.co.jp/hiroshima/news/004883.html  

  • 風水とは?住まいを整えるための、古くて新しい空間の考え方

    風水とは?住まいを整えるための、古くて新しい空間の考え方

    この画像の玄関が風水的に良いとされる理由は「明るい、清潔、気の通り道が塞がれていない、植物と木の要素がある、鏡が玄関ドア正面ではない、アートの色が活気をもたらす」の6点が挙げられます。 画像のアートはELEMENTI ARTさんのFAIRY FLOWER(フェアリーフラワー)yellow 「風水」と聞くと、玄関に置くもの、方角ごとのラッキーカラー、黄色い財布などを思い浮かべる方も多いかもしれません。 金運、健康運、仕事運、恋愛運。そうした言葉と結びついて紹介されることもあり、少し占いのような印象を持たれることもあります。 けれども本来の風水は、もう少し広い考え方です。 風水とは、古代中国に由来する環境思想です。土地、建物、方位、地形、風の流れ、水の位置、光の入り方、物の配置などを見ながら、人が自然や空間と調和して過ごすための考え方として発展してきました。 英語圏の百科事典 Britannica では、風水を「重要な場所、建物、空間や物を、気の流れと調和するように配置する古代中国の実践」と説明しています。つまり風水の中心にあるのは、単に何色を選ぶかではなく、空間全体をどのように整えるかという視点です。 「風」と「水」が意味するもの 風水という言葉は、文字通りには「風」と「水」を意味します。 風は目に見えない流れを、水は地形や生命を支えるものを象徴します。 昔の人々にとって、風通しのよい場所、水に恵まれた場所、日当たりのよい場所、災害を受けにくい場所を選ぶことは、住まいの安定に直結していました。どこに家を構えるか。建物をどの向きにするか。周囲の山や川とどう関係するか。こうした判断は、日々の安全や農耕、家族の繁栄にも関わる大切なものでした。 風水は、住居だけでなく、墓地や都市、庭園、建築の配置にも関わる考え方として使われてきました。Britannica では、風水は古くは早期の周王朝にまでさかのぼる考え方とされ、「風水」という語は郭璞に帰される『葬書』に見られると説明されています。 現代の私たちに置き換えるなら、風水は「過ごしやすい環境をどうつくるか」という知恵として見ることができます。玄関が暗く散らかっていると、家に入ったときの気分は少し重くなります。寝室に物が多すぎると、落ち着いて眠りにくくなることがあります。動線がふさがれている部屋では、何気ない移動にも小さなストレスが生まれます。 このように、空間の状態が気分に影響するという感覚は、風水という言葉を使わなくても、多くの人が実感できるものです。  気の流れを整えるという考え方 風水では「気」という概念が重視されます。 気とは、中国思想において、生命や宇宙に行き渡るエネルギーのようなものとして語られてきた概念です。 もっとも、現代の住まいでこの「気」を厳密に信じる必要はありません。実用的に考えるなら、気の流れとは、空気の流れ、光の入り方、人の動き、視線の抜け、部屋に入ったときの印象などを含むものと捉えると分かりやすくなります。 玄関から入ったときに、明るく整った空間が見える。窓のまわりに物を置きすぎず、自然光が入る。家具の配置に無理がなく、部屋の中を歩きやすい。日々使うものが、必要な場所にきちんと収まっている。 これらは、いわゆる「開運」の前に、まず住まいの快適さを支える基本です。 風水が長く語り継がれてきた背景には、このような実感に近い部分があるのだと思います。  欧米での風水の受け止められ方 風水は中国由来の考え方ですが、欧米でも広く知られています。 一方で、欧米で語られる風水は、伝統的な中国風水そのものというより、インテリアデザインや日常の空間づくりの文脈で受け入れられていることが多いです。 Rochester...

    風水とは?住まいを整えるための、古くて新しい空間の考え方

    この画像の玄関が風水的に良いとされる理由は「明るい、清潔、気の通り道が塞がれていない、植物と木の要素がある、鏡が玄関ドア正面ではない、アートの色が活気をもたらす」の6点が挙げられます。 画像のアートはELEMENTI ARTさんのFAIRY FLOWER(フェアリーフラワー)yellow 「風水」と聞くと、玄関に置くもの、方角ごとのラッキーカラー、黄色い財布などを思い浮かべる方も多いかもしれません。 金運、健康運、仕事運、恋愛運。そうした言葉と結びついて紹介されることもあり、少し占いのような印象を持たれることもあります。 けれども本来の風水は、もう少し広い考え方です。 風水とは、古代中国に由来する環境思想です。土地、建物、方位、地形、風の流れ、水の位置、光の入り方、物の配置などを見ながら、人が自然や空間と調和して過ごすための考え方として発展してきました。 英語圏の百科事典 Britannica では、風水を「重要な場所、建物、空間や物を、気の流れと調和するように配置する古代中国の実践」と説明しています。つまり風水の中心にあるのは、単に何色を選ぶかではなく、空間全体をどのように整えるかという視点です。 「風」と「水」が意味するもの 風水という言葉は、文字通りには「風」と「水」を意味します。 風は目に見えない流れを、水は地形や生命を支えるものを象徴します。 昔の人々にとって、風通しのよい場所、水に恵まれた場所、日当たりのよい場所、災害を受けにくい場所を選ぶことは、住まいの安定に直結していました。どこに家を構えるか。建物をどの向きにするか。周囲の山や川とどう関係するか。こうした判断は、日々の安全や農耕、家族の繁栄にも関わる大切なものでした。 風水は、住居だけでなく、墓地や都市、庭園、建築の配置にも関わる考え方として使われてきました。Britannica では、風水は古くは早期の周王朝にまでさかのぼる考え方とされ、「風水」という語は郭璞に帰される『葬書』に見られると説明されています。 現代の私たちに置き換えるなら、風水は「過ごしやすい環境をどうつくるか」という知恵として見ることができます。玄関が暗く散らかっていると、家に入ったときの気分は少し重くなります。寝室に物が多すぎると、落ち着いて眠りにくくなることがあります。動線がふさがれている部屋では、何気ない移動にも小さなストレスが生まれます。 このように、空間の状態が気分に影響するという感覚は、風水という言葉を使わなくても、多くの人が実感できるものです。  気の流れを整えるという考え方 風水では「気」という概念が重視されます。 気とは、中国思想において、生命や宇宙に行き渡るエネルギーのようなものとして語られてきた概念です。 もっとも、現代の住まいでこの「気」を厳密に信じる必要はありません。実用的に考えるなら、気の流れとは、空気の流れ、光の入り方、人の動き、視線の抜け、部屋に入ったときの印象などを含むものと捉えると分かりやすくなります。 玄関から入ったときに、明るく整った空間が見える。窓のまわりに物を置きすぎず、自然光が入る。家具の配置に無理がなく、部屋の中を歩きやすい。日々使うものが、必要な場所にきちんと収まっている。 これらは、いわゆる「開運」の前に、まず住まいの快適さを支える基本です。 風水が長く語り継がれてきた背景には、このような実感に近い部分があるのだと思います。  欧米での風水の受け止められ方 風水は中国由来の考え方ですが、欧米でも広く知られています。 一方で、欧米で語られる風水は、伝統的な中国風水そのものというより、インテリアデザインや日常の空間づくりの文脈で受け入れられていることが多いです。 Rochester...

  • 紙と布、同じ素材からできているというお話

    紙と布、同じ素材からできているというお話

    画像はセルロースの分子構造イメージ(3Dモデル)   紙と布って、実は出発点が近いことをご存じでしたか。ふだんはまったく別ものとして扱われますよね。紙は紙、布は布。けれど少し視点を変えると、どちらも多くは植物由来の繊維を材料にしている、という共通点が見えてきます。綿や麻のような天然繊維も、紙の原料になるパルプも、もとは植物の中にある繊維。そこには、セルロースという植物由来の成分が含まれています。だからこそ、触感や表情のちがいが、かえって面白く感じられるのかもしれません。 では、なぜ紙と布は別の世界に分かれていったのでしょう。答えは意外とシンプルで、素材そのものより、作り方の発想が違ったからです。 紙は、水の力を借りる素材です。繊維をいったん水の中にほぐして散らし、うすい層として広げて、脱水して乾かす。そうすると繊維どうしが寄り添い、面としてまとまります。紙の強さや質感は、繊維のほぐし方や密度、仕上げで変わり、薄くて広くて均一な面を作るのが得意です。 一方、布は、構造で強さを作ります。繊維を束ねて糸にし、織るか編む。糸の太さや撚り、織りや編みのパターンで、しなやかさや伸び、丈夫さが決まります。布が身につけることに向いているのは、引っ張られても破れにくく、動きに合わせて形を変えられるから。これは繊維どうしがくっついているというより、組み方の設計で生まれる性質です。 そして、この二つの間に橋をかける存在が不織布です。不織布は、織らない、編まない。繊維をシート状に広げてから、別の方法で結びつけて布のように仕上げます。針で絡ませたり、水の勢いで絡ませたり、熱や接着で固めたり。用途に合わせて結び方を選べるのが不織布の強みです。なお規格上、不織布は「紙を除外する」と整理されています。見た目が似ていても、別ジャンルとして育ってきたということです。 不織布の中には、さらに紙に近いタイプがあります。それが湿式不織布です。繊維を水に分散してシートにする点で、作り方の気配が抄紙にとても似ています。つまり同じ「水でシートを作る」仲間でも、紙と不織布は狙っている性能や設計の自由度が少し違う。そこが面白いところです。 ここまでをまとめると、違いはこうなります。・紙は、水の中で繊維を広げて、面として固める。・布は、糸にしてから組み立てて、構造として強くする。・不織布は、繊維の層を作って、別のやり方で結びつける。同じ素材の仲間でも、成長の仕方が違ったわけです。   左から、紙・布・不織布の製造工程をイメージした画像。   歴史を考えると、分かれ方にも納得がいきます。紙は、文字や情報、包装と相性がよく、薄くて軽い面として社会を変えていきました。布は、衣服や暮らしの道具として、丈夫さや触り心地の世界を磨いてきました。そして近代以降、不織布が衛生材やフィルターなど「大量に、狙った性能で」作る領域で一気に存在感を増していきます。紙と布の間にあった空白が、用途の広がりとともに埋まっていった、と見てもよさそうです。 そして最先端の話になると、紙・布・不織布の境界はもう少し曖昧になっていきます。代表例がセルロースナノファイバー(CNF)です。植物由来のとても細い繊維で、軽くて強いなどの特性が期待され、材料の世界で注目が集まっています。環境省も利活用に関するガイドライン等を通じて、製品化の動向やリサイクル、CO2削減効果の算定方法などの知見を整理しています。CNFは、紙に混ぜてもよし、不織布の設計に活かしてもよし、複合材料として別の世界へ行ってもよし。共通の材料感覚をもつからこそ、いろいろな領域に入り込みやすいのだと思います。 未来をやさしく言うなら、ポイントは二つだと思います(推測ですが)。一つは、脱プラや循環の流れの中で、紙・不織布・布がそれぞれ得意なところを持ち寄って、より回収しやすい構成や、より少ない材料で同等の性能を出す方向が強まること。もう一つは、触り心地や見た目といった「感覚の価値」と、フィルター性や強度といった「機能の価値」が、同じ一枚の中で共存していくことです。紙が布っぽくなり、布が紙っぽくなり、その間を不織布が行き来する。そういう時代に向かっている気配があります。 紙と布は、べつべつの文化を育ててきた素材です。でも根っこは近い。どちらも多くは植物由来の繊維から生まれています。そう思って身の回りの素材を眺めると、紙の触感が少し布に見えたり、布の表情が少し紙に見えたりします。素材を用途だけでなく、作り方の思想で見直すと、世界が少し立体的になりませんか。 今回はアートとは直接関係のないコラムでしたが、最後までお付き合いくださりありがとうございました。   【出典】・ISO 9092:1988 (iso.org)・Hubbe & Koukoulas 2016(湿式不織布レビュー)(bioresources.cnr.ncsu.edu)・環境省 CNF (env.go.jp)

    紙と布、同じ素材からできているというお話

    画像はセルロースの分子構造イメージ(3Dモデル)   紙と布って、実は出発点が近いことをご存じでしたか。ふだんはまったく別ものとして扱われますよね。紙は紙、布は布。けれど少し視点を変えると、どちらも多くは植物由来の繊維を材料にしている、という共通点が見えてきます。綿や麻のような天然繊維も、紙の原料になるパルプも、もとは植物の中にある繊維。そこには、セルロースという植物由来の成分が含まれています。だからこそ、触感や表情のちがいが、かえって面白く感じられるのかもしれません。 では、なぜ紙と布は別の世界に分かれていったのでしょう。答えは意外とシンプルで、素材そのものより、作り方の発想が違ったからです。 紙は、水の力を借りる素材です。繊維をいったん水の中にほぐして散らし、うすい層として広げて、脱水して乾かす。そうすると繊維どうしが寄り添い、面としてまとまります。紙の強さや質感は、繊維のほぐし方や密度、仕上げで変わり、薄くて広くて均一な面を作るのが得意です。 一方、布は、構造で強さを作ります。繊維を束ねて糸にし、織るか編む。糸の太さや撚り、織りや編みのパターンで、しなやかさや伸び、丈夫さが決まります。布が身につけることに向いているのは、引っ張られても破れにくく、動きに合わせて形を変えられるから。これは繊維どうしがくっついているというより、組み方の設計で生まれる性質です。 そして、この二つの間に橋をかける存在が不織布です。不織布は、織らない、編まない。繊維をシート状に広げてから、別の方法で結びつけて布のように仕上げます。針で絡ませたり、水の勢いで絡ませたり、熱や接着で固めたり。用途に合わせて結び方を選べるのが不織布の強みです。なお規格上、不織布は「紙を除外する」と整理されています。見た目が似ていても、別ジャンルとして育ってきたということです。 不織布の中には、さらに紙に近いタイプがあります。それが湿式不織布です。繊維を水に分散してシートにする点で、作り方の気配が抄紙にとても似ています。つまり同じ「水でシートを作る」仲間でも、紙と不織布は狙っている性能や設計の自由度が少し違う。そこが面白いところです。 ここまでをまとめると、違いはこうなります。・紙は、水の中で繊維を広げて、面として固める。・布は、糸にしてから組み立てて、構造として強くする。・不織布は、繊維の層を作って、別のやり方で結びつける。同じ素材の仲間でも、成長の仕方が違ったわけです。   左から、紙・布・不織布の製造工程をイメージした画像。   歴史を考えると、分かれ方にも納得がいきます。紙は、文字や情報、包装と相性がよく、薄くて軽い面として社会を変えていきました。布は、衣服や暮らしの道具として、丈夫さや触り心地の世界を磨いてきました。そして近代以降、不織布が衛生材やフィルターなど「大量に、狙った性能で」作る領域で一気に存在感を増していきます。紙と布の間にあった空白が、用途の広がりとともに埋まっていった、と見てもよさそうです。 そして最先端の話になると、紙・布・不織布の境界はもう少し曖昧になっていきます。代表例がセルロースナノファイバー(CNF)です。植物由来のとても細い繊維で、軽くて強いなどの特性が期待され、材料の世界で注目が集まっています。環境省も利活用に関するガイドライン等を通じて、製品化の動向やリサイクル、CO2削減効果の算定方法などの知見を整理しています。CNFは、紙に混ぜてもよし、不織布の設計に活かしてもよし、複合材料として別の世界へ行ってもよし。共通の材料感覚をもつからこそ、いろいろな領域に入り込みやすいのだと思います。 未来をやさしく言うなら、ポイントは二つだと思います(推測ですが)。一つは、脱プラや循環の流れの中で、紙・不織布・布がそれぞれ得意なところを持ち寄って、より回収しやすい構成や、より少ない材料で同等の性能を出す方向が強まること。もう一つは、触り心地や見た目といった「感覚の価値」と、フィルター性や強度といった「機能の価値」が、同じ一枚の中で共存していくことです。紙が布っぽくなり、布が紙っぽくなり、その間を不織布が行き来する。そういう時代に向かっている気配があります。 紙と布は、べつべつの文化を育ててきた素材です。でも根っこは近い。どちらも多くは植物由来の繊維から生まれています。そう思って身の回りの素材を眺めると、紙の触感が少し布に見えたり、布の表情が少し紙に見えたりします。素材を用途だけでなく、作り方の思想で見直すと、世界が少し立体的になりませんか。 今回はアートとは直接関係のないコラムでしたが、最後までお付き合いくださりありがとうございました。   【出典】・ISO 9092:1988 (iso.org)・Hubbe & Koukoulas 2016(湿式不織布レビュー)(bioresources.cnr.ncsu.edu)・環境省 CNF (env.go.jp)

  • 訪日外国人は、日本の何に惹かれているのか|データから読み解く日本文化の魅力

    訪日外国人は、日本の何に惹かれているのか|データから読み解く日本文化の魅力

    画像は大川菜々子さんの「富士山」   YouTubeやSNSを見ていると、日本を訪れた外国人が、食事や街の清潔さ、電車の正確さ、店員の丁寧な対応に驚いている動画をよく目にします。そこには誇張された表現もあるかもしれません。再生数を意識した演出も、まったくないとは言い切れません。それでも、2025年の訪日外客数が過去最多を更新したことを考えると、日本に向けられる関心が一時的な話題だけではないことも見えてきます。 では、外国人は実際にどこから来て、どれくらい滞在し、何にお金を使っているのでしょうか。まずは印象ではなく、データから見ていきたいと思います。 ※ 本文で扱う訪日外客数は日本政府観光局が公表する推計値、旅行消費額は観光庁の確報値を基本にしています。   訪日外国人は、過去最多に 日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人。前年比では15.8%増となり、過去最高だった2024年を大きく上回りました。観光庁の調査では、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円と推計されています。前年比では16.4%増となり、こちらも非常に大きな規模になっています。 項目 2025年実績 読み取れること 訪日外客数(推計値) 4,268万3,600人 過去最高を更新 前年比 15.8%増 旅行需要が引き続き拡大 旅行消費額 9兆4,549億円 消費規模も過去最高水準 1人当たり旅行支出(一般客) 約22.9万円 国や地域により大きな差 ※ 観光庁の1人当たり旅行支出は、クルーズ客を除く「一般客」を対象にした指標です。そのため、旅行消費額の総額を訪日外客数全体で単純に割った数字とは一致しません。 ここで大切なのは、訪日外国人をひとまとめに見ないことです。 近い国から短期間で何度も来る人もいれば、長い休暇を使って日本各地を巡る人もいます。買い物を楽しむ人もいれば、食事や宿泊、移動そのものを含めて日本を体験する人もいます。   どの国・地域から来ているのか...

    訪日外国人は、日本の何に惹かれているのか|データから読み解く日本文化の魅力

    画像は大川菜々子さんの「富士山」   YouTubeやSNSを見ていると、日本を訪れた外国人が、食事や街の清潔さ、電車の正確さ、店員の丁寧な対応に驚いている動画をよく目にします。そこには誇張された表現もあるかもしれません。再生数を意識した演出も、まったくないとは言い切れません。それでも、2025年の訪日外客数が過去最多を更新したことを考えると、日本に向けられる関心が一時的な話題だけではないことも見えてきます。 では、外国人は実際にどこから来て、どれくらい滞在し、何にお金を使っているのでしょうか。まずは印象ではなく、データから見ていきたいと思います。 ※ 本文で扱う訪日外客数は日本政府観光局が公表する推計値、旅行消費額は観光庁の確報値を基本にしています。   訪日外国人は、過去最多に 日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人。前年比では15.8%増となり、過去最高だった2024年を大きく上回りました。観光庁の調査では、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円と推計されています。前年比では16.4%増となり、こちらも非常に大きな規模になっています。 項目 2025年実績 読み取れること 訪日外客数(推計値) 4,268万3,600人 過去最高を更新 前年比 15.8%増 旅行需要が引き続き拡大 旅行消費額 9兆4,549億円 消費規模も過去最高水準 1人当たり旅行支出(一般客) 約22.9万円 国や地域により大きな差 ※ 観光庁の1人当たり旅行支出は、クルーズ客を除く「一般客」を対象にした指標です。そのため、旅行消費額の総額を訪日外客数全体で単純に割った数字とは一致しません。 ここで大切なのは、訪日外国人をひとまとめに見ないことです。 近い国から短期間で何度も来る人もいれば、長い休暇を使って日本各地を巡る人もいます。買い物を楽しむ人もいれば、食事や宿泊、移動そのものを含めて日本を体験する人もいます。   どの国・地域から来ているのか...

  • 複数のアートを並べて飾る|暮らしの眺めの育て方

    複数のアートを並べて飾る|暮らしの眺めの育て方

    暮らしの中に生まれる眺め アートを飾ると聞くと、まず思い浮かぶのは、壁に大きな作品を一枚掛ける姿かもしれません。 ソファの上、玄関、リビングの正面。そこに一枚の絵があるだけで、空間の印象は大きく変わります。 大きな一枚には、部屋の中心をつくる力があります。 視線を引きつけ、空間を引き締め、その場所にひとつの象徴的な表情を与えてくれます。 一方で、楽しみ方はそれだけではありません。 小さめの作品を複数枚飾ると、一枚の大きな作品とは違い、作品同士のあいだに余白やリズムが生まれます。 横に並べて穏やかな広がりをつくる。少し高さをずらして、壁面に動きを出す。廊下や階段に沿って配置し、歩きながら少しずつ眺める。 そうした飾り方には、空間全体に表情を重ねていくような楽しさがあります。 複数枚を飾ることは、壁を埋めるための方法ではありません。 むしろ、ひとつの強い印象で空間を決めるのではなく、小さな眺めを少しずつ重ねていくような行為です。 欧米の住宅に見る、複数枚を飾る文化 欧米の映画やインテリア写真などで、階段や廊下に家族写真が何枚も飾られている場面を目にすることがあります。 子どもの成長、旅先での一枚、家族の記念日、祖父母の写真。そうした写真が、階段の勾配に沿って並べられている風景です。 もちろん、すべての欧米の家に共通する習慣ではありません。国や地域、家族観、住宅の広さによっても違いがあります。 それでも、家族写真を複数飾る行為には、ひとつの考え方が見えてきます。 それは、写真を単なる記録としてしまい込むのではなく、日々の暮らしの中に置いておくという感覚です。 階段を上がるとき、廊下を通るとき、ふと目に入る。 毎回じっくり眺めるわけではなくても、そこにあることで、家族の時間や記憶が住まいの一部になっていく。 アメリカの文化人類学者リチャード・シャルフェンは、著書 Snapshot Versions of Life(1987年)の中で、家庭内の写真や映像を「ホームモード・フォトグラフィー」と呼び、人々が写真を通じて家族の記憶やアイデンティティを形成していることを明らかにしています。写真は単なる装飾や記録ではなく、家族や個人の記憶を支えるものとして日常の中に置かれているというのが、シャルフェンの見方です。 この考え方は、複数の作品を飾ることにも通じます。 家族写真が「家族の時間」を重ねるものだとすれば、作品は「その人が心地よいと感じるもの」「惹かれる色やかたち」「暮らしの中で大切にしたい気分」を重ねるものと言えるかもしれません。 一枚の大きな作品で空間を決めるのではなく、複数の作品を通して、その人らしい眺めが生まれていく。 そこに、この飾り方ならではの価値があります。 連続して並べることで生まれるリズム 複数枚を飾るとき、もっともわかりやすい効果は、視線の流れが生まれることです。...

    複数のアートを並べて飾る|暮らしの眺めの育て方

    暮らしの中に生まれる眺め アートを飾ると聞くと、まず思い浮かぶのは、壁に大きな作品を一枚掛ける姿かもしれません。 ソファの上、玄関、リビングの正面。そこに一枚の絵があるだけで、空間の印象は大きく変わります。 大きな一枚には、部屋の中心をつくる力があります。 視線を引きつけ、空間を引き締め、その場所にひとつの象徴的な表情を与えてくれます。 一方で、楽しみ方はそれだけではありません。 小さめの作品を複数枚飾ると、一枚の大きな作品とは違い、作品同士のあいだに余白やリズムが生まれます。 横に並べて穏やかな広がりをつくる。少し高さをずらして、壁面に動きを出す。廊下や階段に沿って配置し、歩きながら少しずつ眺める。 そうした飾り方には、空間全体に表情を重ねていくような楽しさがあります。 複数枚を飾ることは、壁を埋めるための方法ではありません。 むしろ、ひとつの強い印象で空間を決めるのではなく、小さな眺めを少しずつ重ねていくような行為です。 欧米の住宅に見る、複数枚を飾る文化 欧米の映画やインテリア写真などで、階段や廊下に家族写真が何枚も飾られている場面を目にすることがあります。 子どもの成長、旅先での一枚、家族の記念日、祖父母の写真。そうした写真が、階段の勾配に沿って並べられている風景です。 もちろん、すべての欧米の家に共通する習慣ではありません。国や地域、家族観、住宅の広さによっても違いがあります。 それでも、家族写真を複数飾る行為には、ひとつの考え方が見えてきます。 それは、写真を単なる記録としてしまい込むのではなく、日々の暮らしの中に置いておくという感覚です。 階段を上がるとき、廊下を通るとき、ふと目に入る。 毎回じっくり眺めるわけではなくても、そこにあることで、家族の時間や記憶が住まいの一部になっていく。 アメリカの文化人類学者リチャード・シャルフェンは、著書 Snapshot Versions of Life(1987年)の中で、家庭内の写真や映像を「ホームモード・フォトグラフィー」と呼び、人々が写真を通じて家族の記憶やアイデンティティを形成していることを明らかにしています。写真は単なる装飾や記録ではなく、家族や個人の記憶を支えるものとして日常の中に置かれているというのが、シャルフェンの見方です。 この考え方は、複数の作品を飾ることにも通じます。 家族写真が「家族の時間」を重ねるものだとすれば、作品は「その人が心地よいと感じるもの」「惹かれる色やかたち」「暮らしの中で大切にしたい気分」を重ねるものと言えるかもしれません。 一枚の大きな作品で空間を決めるのではなく、複数の作品を通して、その人らしい眺めが生まれていく。 そこに、この飾り方ならではの価値があります。 連続して並べることで生まれるリズム 複数枚を飾るとき、もっともわかりやすい効果は、視線の流れが生まれることです。...

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